今回から「DXが進まない理由」について全4回(今のところ)の連載にしてお送りしたいと思います。
なぜ、僕が「DXが進まない理由」について書こうと思ったのかというと、やっぱり、DXがバズワードになってしまうのではないかという懸念があるからです。(僕が懸念する必要は全くないのですが・・・)
世間が注目し始めると、とっても良い話なのにバズワード化して、DXにさえ絡めればDXの本質的とは離れたサービスであってもビジネスになってしまうので、なんだかわからなくなってしまうことが多いと思うからです。
もう一度書きますが、別に、今更、僕が警鐘を鳴らす必要は全く無いのですが、まあ書きたくなったので書きます。
なんとなく、連載はこんな感じにしようと思っています。
- 第1回:DXのDに依存している
- 第2回:DXをリードしているのがIT系ではイマイチ
- 第3回:顧客を理解するべし
- 第4回:変化を嫌がる傾向
ということで、第1回です!
第1回:DXのDに依存している
DXという言葉をあらゆる場所で見聞きしますが、どんなイメージがあるかというと、実に様々です。というか色々なレベル感で会話されていますよね。
僕が考えるレベル感は以下の3つです。
(1)ビジネスモデルやビジネスアーキテクチャが変化してしまうレベル
要するに、これまでとは全く異なるビジネスとか100%どちらかにかけるみいな話です。
例えば、既存のラジオ局がFM/AM波をやめてインターネットラジオに特化するとか、どこぞのメーカーが何かを作るのをやめて全て貸し出すようにするとか・・・といった感じです。
(2)ビジネスプロセスを技術を活用して変化させるレベル
要するに技術を使った業務プロセスの変革です。
部門毎に独立したシステムを統合するとか、技術を使った全く新しい方法でセールスするとか、マーケティングするとか、プロジェクトマネジメントするとか・・・といった感じです。
(3)クラウドやAIやIoTを使って生産性を高めるレベル
要するに技術を使った業務効率の向上です。
話題の捺印を無くして電子サインにするとか、AIを使ったコールセンターに移行するとか、紙で行っていた処理を電子化するとか・・・といった感じです。
DXって・・・
良い悪いというのではなく、僕自身は、DXとは(1)のことを言うのかと思っていましたが、どうも(2)や(3)の話も多く、新しくEコマースのサイトをスタートしましょうと言う話もあります。
詳しくは色々と違うのでしょうが、EコマースサイトがD2C(Direct To Customer)と呼び方を変えているだけの気もします。
Digital Transformationを直訳すればデジタル転換なわけですが、まあ、どのレベルにおいても、なんとなくデジタルに傾倒している気がしています。
IoT、AI、RPAが三種の神器みたいになって、「これらを導入すればDXだ!」みたいな風潮すらあります。
僕自身は、デジタル転換の「転換」が重要なのであって、デジタルは二の次で良いのではないかと思うわけです。
確かに、直近の先端テクノロジーは、IoT、AI、RPAかもしれませんが、20年前から、その時々の先端テクノロジーはあるわけで、2020年現在が特別な先端テクノロジーがあるわけではないと思うのです。
なので、「転換」が必要であり、「転換」こそが、DXの肝でありポイントだと思うのです。
30年間のIT業界をみてみると、別にテクノロジーなんてどうでも良いと言うか、先進テクノロジーがイノベーションを起こすのではなく、イノベーティブな発想をテクノロジーが支える感じなのです。
NetFlix、Uber、Airbnb、TikTok、Facebookがスタートした際に、誰もが真似できないような先端テクノロジーによって実装されたかと言うとそうでもありません。
何か既存のビジネスを転換する発想がそこにあったのです。
でも、一方では、こんなアプローチの考え方であれば話は別だと思います。
- 量子コンピューティングによってめっちゃ処理速度が速いとしたら何ができるか?
- 全ての商品にIoTを付加したらどんなサービスができそうか?
結局のところ、デジタルと転換は鶏と卵みたいなもので、どっちが先というわけではありませんが、過去の傾向からみれば、やはり「転換」が先な方が多い気がします。