■DXが進まない理由シリーズ
- 第1回:DXのDに依存している
- 第2回:DXをリードしているのがIT系ではイマイチ
- 第3回:顧客を理解するべし
- 第4回:変化を嫌がる傾向
第3回は「顧客を理解するべし」
DXを成功させるには、顧客を理解するべし!
当たり前じゃーん。
当たり前でしょうか?
社内には、営業、マーケティング、経営企画、経理、財務、法務、総務、人事、研究開発、技術、製造など多くの部門がありますが、彼らに「あなたの顧客は誰ですか?」と聞くと、多くの場合は「ん?」ってなります。
様々な業種業態がある中で顧客は色々あるのですが、多くの場合、会社に対する顧客という理解が殆どです。
とっても正しい回答なのですが、もう一つの側面は社内にいる顧客です。
あなたは、社内の誰のために仕事をしているのですか?という問いは「あなたの顧客は誰ですか?」という問いと類似していますよね。
社外にいる顧客にしろ社内にいる顧客にしろ、顧客にとって真に利便性があるようなサービスであれば、デジタルであろうがなかろうがそのトランスフォームは成功します。
しかし、顧客の利便性などを考えていないサービスであれば、デジタルであろうがなかろうがそのトランスフォームは失敗します。
「デジタルであろうがなかろうが」と書きましたが、トランスフォームするにおいて、デジタルテクノロジーは必要かもしれませんが必須では無いと思います。
特に、先端テクノロジーである必要はなかなか無いと言っても過言ではありませんし、逆に、クラウド・AI・RPA・IoT・ブロックチェーンなどが自社のトランスフォームを推進すると思ったら大間違いです。
あくまでも、テクノロジーはツールです。
それ以上でもそれ以下でもありません。
DXした企業というより、そもそもの成り立ちが、既存市場や既存顧客体験をトランスフォームした企業といえば、Uber(2009年創業)、Netflix(1997年創業)、Airbnb(2008年創業)、facebook(2004年創業)があります。
これらの会社は、今でこそ先進テクノロジーを活用してどんどん新しいサービスを生み出していますが、創業時は、特に先進テクノロジーを使っていたわけでは無いのです。
極端なことを言えば、普通のありふれた技術を使ったに過ぎません。
でも、約10数年後には、同じ業界の日本企業が太刀打ちできないほどの急成長を遂げた企業になっています。
何が違うのか?
シンプルに言えば、以下の3つ
(1)本当に顧客について考えている
上記の企業の創業ストーリーを検索してもらうと概ねわかると思うのですが、きっかけは「だって、不便だったんだもん」に近いのです。
大袈裟な事業計画を書いてからスタートしたというよりは、個人的に不便だと思ったので、便利になるように、新しい発想で実装してみました〜ぐらいなノリなのです。
顧客というより自分ですね(笑)
でも、自分の不便な思いが多くの人々にとっても不便だったし共感を得たのだと思います。
(2)スピード命
日本の格言で「思い立ったが吉日」とあるように、思い立ったのでやってみたというノリでサービスを作って、未完成かもしれないけどサービスインしてしまうという潔さ!
「だって、良いと思うものは基本機能さえあれば、概ね出来たらサービスインして大丈夫っしょ!」と思ったのかどうか知りませんが、そんなノリだったのでは無いかと勝手に想像しています。
(3)挑戦することに躊躇いが無い
実際の話、上記企業の創業者は大企業の中にいたわけではありません。アップルやマイクロソフトやグーグルだって大企業の一員としてサービスを作り出したわけではありません。
学生が「とりあえずやってみる」というノリの挑戦からスタートしています。
デジタルかどうかは別にして、既存の方法をトランスフォームした学生たちは挑戦することに躊躇しなかったということです。
でも、各社が急拡大するには大人の資金があったのも見逃せませんね。
日本企業においてDXするなら
僕自身、日本企業においてDXするなら、まずは(1)で良いと思います。
(2)のように「概ね出来たらサービスインして大丈夫っしょ!」っていう軽いノリを日本企業でも許容するのは事実上難しいよなーって思うからです。
あと、(3)の挑戦することを厭わないという話ですが、やはり社内に居ながらして、挑戦することはなかなか難しいと思うのです。
上長が「今までにない革新的な提案を作ってこい」というので、最新技術を使った提案をしたら「前例がないからそんな提案は上奏できない」と却下されたという嘘が本当かわからないような笑い話もあるようです。
となると、(1)の顧客について考えるがDXにはちょうど良いのではないかと思うのです。
EXのために・・・
社内顧客の本質的な利便性を高めるためのトランスフォームを考えて実装する。デジタルテクノロジーがあると加速したり安くできたり早くできるのであれば積極的にテクノロジーも使う。
CXのために・・・
社外顧客の本質的な利便性を高めるためのトランスフォームを考えて実装する。デジタルテクノロジーがあると加速したり安くできたり早くできるのであれば積極的にテクノロジーも使う。
最後に、我が社は、(2)も(3)もできるアイデアもインフラも文化がある!というのあれば最高ですね!
是非、取材させてください!(笑)